58 / 223
第三章・12
昼休み、いつものように生徒会室で昼食を摂る伊織の傍に、駿はいた。
ラブレターのリストを渡し、手紙の山をテーブルの端に置いた。
「さて」
リストの名を眺めていた伊織は、ふと視線を止めると駿を横目でちらりと見た。
「なぜ、君の名前があるのかな。駿」
「僕も、伊織さまにラブレターを書きたくなったんです」
何を今さら、と伊織は笑う。
「駿はもう、金曜日の少年。私の従者だ。すでに私の寵愛を受けているではないか」
「でも、思いを伝えたくなることだって、あるんです」
おかしな奴だな、と手紙の中から駿が書いたものを伊織は探し出した。
封筒にも入れていない、ノートを破った便箋に癖のある文字が綴ってあった。
ともだちにシェアしよう!