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第三章・12

 昼休み、いつものように生徒会室で昼食を摂る伊織の傍に、駿はいた。  ラブレターのリストを渡し、手紙の山をテーブルの端に置いた。 「さて」  リストの名を眺めていた伊織は、ふと視線を止めると駿を横目でちらりと見た。 「なぜ、君の名前があるのかな。駿」 「僕も、伊織さまにラブレターを書きたくなったんです」  何を今さら、と伊織は笑う。 「駿はもう、金曜日の少年。私の従者だ。すでに私の寵愛を受けているではないか」 「でも、思いを伝えたくなることだって、あるんです」  おかしな奴だな、と手紙の中から駿が書いたものを伊織は探し出した。  封筒にも入れていない、ノートを破った便箋に癖のある文字が綴ってあった。

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