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第三章・13
『伊織さま、いつもありがとうございます。伊織さまに会ってから、僕は変わりました。見た目も、中身も。もう、苛められることもありません。伊織さまのおかげです』
ふむ、と伊織は顎を撫でた。
「良かったじゃないか、駿。私も嬉しいぞ」
「……まだ、続きがあるんです」
『昨夜はご飯を食べずに心配かけて、ごめんなさい。僕の他に、誰かと会っている伊織さまを思うと、心が乱れて泣いてしまったのです。泣いていて、食べる暇がなかったのです』
これは。
「駿、これは」
「恥ずかしいから、お手紙で伝えようと思ったんです」
伊織は、続きを読んだ。
『でも、今日は金曜日です。今日は一日、伊織さまとずっと一緒にいられると思うと、わくわくします。素敵な一日になりそうです。伊織さまも、僕といる時に楽しいと感じてくれるといいのですが。伊織さま、大好きです』
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