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第三章・14
伊織は両手で顔をひとつ拭うと、駿を抱き寄せた。
「わ。伊織さま!?」
「可愛いなぁ、駿は」
本当に、可愛い。
自分の気持ちに気づかないなんて、本当に鈍感なΩだ!
「駿。君のこの気持ちには、古くから名前が付いている」
「え!」
それは……。
伊織は、駿の耳元で囁いた。
「ジェラシー。嫉妬、だよ」
君は、木曜日の少年に、嫉妬して泣いていたんだな。
伊織のささやきは、耳元だけでなく耳朶を食んだ。
こり、と甘い刺激が駿の身に走る。
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