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第三章・17
「駿。おい、駿!」
気が付くと、伊織が顔の前で手をひらひらさせている。
「あ、ごめんなさい!」
クリスマスプレゼントが貰えるなんて、夢みたいで、と駿ははにかんだ。
「何かリクエストはあるかな?」
駿は考えた。
お金で買えるものは、必要ない。
それは、自分で買えばいい。
(伊織さまにもらったお金だけど……)
そこで、ふと駿は思いついた。
お金では、絶対に買えないもの。
「あの。伊織さまの描いた絵が、欲しいです」
屋敷の回廊のところどころには、名画が飾ってある。
その中には、伊織のサインが入ったものもあるのだ。
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