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第三章・26
二人でベッドの上に座り込み、もたれ合っていた。
柔らかく温かな互いの肌を、感じ合った。
もうすぐ、午前0時。
金曜日が、終わる。
また一週間、会えなくなる。
「メール、してもいいですか」
「日中は返信できないぞ」
「いいんです」
ただの一言でも、いい。
伊織さまの気配が、欲しい。
でないと、とても一週間耐えられない。
「……0時だ」
「はい。さよなら、伊織さま。おやすみなさい」
温かな伊織から、駿は身体を引きはがした。
生木を裂かれる思いだった。
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