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第四章・9
何曜日かは解らないが、従者の少年がビジネスライクに伊織さまに仕えている。
「ぼ、僕は! 僕は違いますから!」
頭が、かっかとのぼせた。
そこに、昼の篠崎の言葉が浮かんだ。
『そうか、御影くんは天宮司にすっかり参っちゃったんだ』
『もう、どうしようもなく愛してる、ってことだよ』
『愛してなきゃ、そこまで深く想ったり悩んだりしないよ』
「愛。これが、愛なのかな」
僕は、伊織さまを愛している。
そう思うだけで、血が騒ぐ。
居ても立っても居られなくなる。
金曜日が、待ち遠しくなる。
「伊織さま」
指を噛んで、耐えた。
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