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第四章・11
そういえば、と駿は思い出した。
「伊織さまは、意外に寒がりだ」
学校にも、ひざ掛けを持参しているくらいだ。
「ひざ掛け! ひざ掛けにしよう!」
マフラーとは違い、ひざ掛けなら目立つこともない。
そして、もうこうなったら、手編み!
クラスの女子が、最近せっせと編み物をしている姿を目にしている。
ネットで検索し、初心者でも簡単にできる、というかぎ針を使った編み方を練習してみた。
これなら、クリスマスまでに間に合いそうだ。
「えっと、12月24日は……」
火曜日だった。
「金曜日じゃないのか……」
いつ、渡せばいいだろう。
火曜日の少年の前で手渡すなんて、できない。
いいさ。
お屋敷の人に、ことづけておけばいい話。
天井を向いて、思わずにじんだ涙を目の奥に収めた。
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