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第四章・12
毎日せっせと、駿は編み物を続けた。
寝食を忘れるほど、と行きたいが、寝食を忘れると伊織からお叱りを受けるので、そこは我慢した。
「もっと大きい方がいいかな」
せめて毛糸はいいものを、と通販でシルクウールを購入。
柔らかくすべすべの手触りに、これなら伊織さまも喜んでくださる、と自信を深めた。
ただ……。
「クリスマス、伊織さまと一緒に過ごしたかったな」
はぁ、と溜息を吐く。
涙やら溜息やら、恋慕やら。
さまざまな駿の心が、毛糸と一緒に編み込まれてゆく。
「何だか、念を込めてるみたい」
手作りの品は、プレゼントには重い。
そんな記事を目にしたのは、ひざ掛けを編み始めた後だった。
「でも、マフラーやセーターじゃないんだし」
気に入らなかったら、捨ててもいいんだし。
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