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第四章・21
休み時間は、編み物だ。
「よかった。これなら、24日までに仕上がりそう」
かぎ針を操る手つきも、随分上達した。
しかしながら、下ばかり向いていると首が痛い。
駿は顔を上げて、頭を左右に動かした。
そして、教室の片隅で繰り広げられている光景を目にしてしまった。
「小松(こまつ)くん」
小松は、駿と同じΩの少年だ。
篠崎に憧れているという共通点から、以前はよく話をしていた。
その小松は、篠崎にプレゼントするためにマフラーを編んでいた。
恋人になりたい、などとおこがましいことは言わない。
ただ、気持ちを受け取って欲しい、そう駿に打ち明けていた。
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