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第四章・22
その小松が編んでいるマフラーを、数名の少年たちが取り囲みほどいている。
小松は無理をして無視しているが、編んでも編んでもその端からどんどんほどいてしまっている。
大きな動きは、ない。
少しずつ、笑いながらほどいている。
ただ、悪ふざけでからかっている、そんな気持ちでほどいているのだろう。
駿は思わず立ち上がり、小松に近づいた。
「小松くん、どこまで編んだ?」
「御影くん」
「よかったら、一緒に編まない? 一人だと退屈なんだ」
「う、うん。ありがとう」
小松の隣の席に掛けた駿を見て、マフラーをほどいていたβの少年たちは去って行った。
「天宮司さんに贔屓されてるからって、あんまり図に乗るんじゃねぇぞ」
そんな捨て台詞を残していったが。
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