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第四章・25
その日、駿は天宮司邸を訪れた。
(土曜日なのに、金曜日の少年が訪ねたりしたら怒られるかな)
どきどきしながら外塀の警備員に声をかけた。
「やあ、どうしたんだい?」
「あの、伊織さまにお見舞いをと思って。通してもらえますか?」
もはや顔なじみになった警備員は、驚くほどすんなりと通してくれた。
邸宅の玄関まで来て、駿は再び不安になった。
(土曜日の少年が、看病してたらどうしよう)
しかし、インフルエンザなのだ。
感染しては大変なので、それは無いと思うが。
「ああ、どうした?」
やはり顔なじみになった警護の男が、駿に声をかけてくれた。
「伊織さまのお見舞いに来たんですけど」
残念ながら、男は首を横に振った。
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