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第五章・聖夜

 伊織が休み続けて、早4日。  12月24日がやってきた。  クリスマス・イヴだ。 「天宮司は、今日も休みだよ」 「伊織さま、クリスマスなのに可哀想」  篠崎と駿は、そんなことを言い合って、ここにはいない伊織を気の毒がった。 「でも、クリスマスプレゼントは届けよう」  バラの花束を託したように、玄関のお兄さんに預ければいいんだし。  そう考えて仕度をしていると、ドアベルが鳴った。 「誰かな」  ドアを開けてみると、そこには護衛の男が。 「お迎えに上がりました、駿さま」 「え?」  いつもの口調なら『迎えに来た。金曜日の少年』と来るところだが?

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