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第五章・6
リボンをほどき、包みを開き、駿は息を呑んでいた。
「これは……」
20号の、ささやかなカンバスだったが、そこには美しい風景が描かれていた。
いや、ただの風景画ではない。
駿の心象をも表した、特別な絵だった。
鮮やかな緑の山から見下ろす、市街地。
そのさら先には、海が輝いている。
そして、そこを飛ぶ一羽の白い鳥。
小学生の頃、一度だけ遠足へ行ったことがある。
標高600m程度の低い山だったが、そこから見下ろす緑は、街は、海は輝いていた。
ここを、鳥になって飛んでみたいな。
そんな風に、考えたものだ。
翼があれば、山も、街も、海さえも越えて行ける。
でも、それは無理な話。
子ども心に、自分をがんじがらめに捕えて離さない茨の存在に、気づいていた。
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