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第五章・8

「駿からは? 私に何かプレゼントがあれば嬉しいのだが」  伊織の言葉に、駿は我に返った。 「あります! これ、よかったら受け取ってください!」  駿の差し出した贈物。  ずいぶんと、軽い。 「何だろう?」  わくわくしながら包みを開くと、中からは若草色を基調にした、温かな色合いのひざ掛けが現れた。 「ブランケットか。これは嬉しいよ、私は冷え性だからね」  ありがとう、と満足そうな伊織に、駿は恐る恐る尋ねてみた。 「あの。手編みとか、重いですか? 苦になったり、しませんか?」  そんなこと、と伊織は笑う。 「駿の手編みだなんて、何より私を温めてくれるだろう。心を込めて、編んでくれたんだろう?」 「ありがとうございます!」  迷ったけど、編んでる最中にまで悩んだけど、頑張ってよかった。  贈った側の駿まで、嬉しくなった。

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