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第五章・10

 そっと、キスを交わした。  伊織の舌は駿の唇を割り、咥内へと忍び込んでくる。 「んっ。ぅう、ん……」  上顎をくすぐられ、駿は声を漏らした。  舌を絡ませ合い、深く繋がる。  今夜の伊織は、やけに積極的だった。  歯列をなぞり、舌の根元まで刷いてくる。 「んぁ。はぁ、は。あ、ぁんっ」  キスの合間に、駿は喘いだ。  伊織の言葉が思い出された。 『インフルエンザだと嘘をついたのは、他の誰でもない駿とイヴを過ごしたかったからでもあるんだ』  7人の少年の中から、僕を選んでくれた。  歓喜で、胸がいっぱいだった。

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