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第五章・11
曲が終わるとともに、伊織は唇を離した。
「続きは、ベッドで」
その囁きに、熱くなる。
身体が、かっかと火照ってくる。
「私の背中を流した後、君もバスを使うといい」
なんなら、一緒に入ってもいいぞ、との伊織のからかうような言葉に、駿は恥ずかしさに身をすくめた。
「ひ、一人で入ります」
「そうか。残念だな」
笑う、伊織。
とても愉快そう。
とても、ご機嫌そう。
伊織さま、素敵なクリスマスにしましょう。
でも、僕はまだ発情期を迎えていない。
ふと、駿は現実に引き戻された。
少しだけ、ブルーになった。
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