111 / 223

第五章・13

 駿は、そっと伊織の背中に口づけた。  ひくん、と伊織が身じろいだ気配がした。  赤い痣に口づけ、舌を伸ばして舐めた。  石鹸の香り。  引き攣れた肌の感触。  おそらくは、まだ癒えていない伊織さまのトラウマ。  神様、どうか少しでもこれで軽くしてください。  伊織さまの心の傷が塞がるのなら、僕は舌が溶けるまでこの痣を舐め続けます。 「駿、ありがとう」  もういいから、おいで。  駿は、伊織の背後から正面へ回った。  緩く、勃ちあがっている伊織の分身。  駿はそれに、静かに手を添えた。

ともだちにシェアしよう!