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第五章・13
駿は、そっと伊織の背中に口づけた。
ひくん、と伊織が身じろいだ気配がした。
赤い痣に口づけ、舌を伸ばして舐めた。
石鹸の香り。
引き攣れた肌の感触。
おそらくは、まだ癒えていない伊織さまのトラウマ。
神様、どうか少しでもこれで軽くしてください。
伊織さまの心の傷が塞がるのなら、僕は舌が溶けるまでこの痣を舐め続けます。
「駿、ありがとう」
もういいから、おいで。
駿は、伊織の背後から正面へ回った。
緩く、勃ちあがっている伊織の分身。
駿はそれに、静かに手を添えた。
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