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第五章・17

「伊織さま」  待ちかねた駿が、寝室にやって来た。  伊織は手にした雑誌をベッドサイドへ置くと、彼の方へ向き合った。  その途端、軽い眩暈を感じた。 「?」  こめかみに指を当て、改めて駿を見る。  柔らかな光の元の彼は、いつ見ても美しい。  いや、今夜はやけに艶めいて見える。 「待っていたよ。さあ、おいで」 「はい」  二人で、広いベッドの上に横たわった。 「今夜は、ちょっとした趣向がある」  伊織がリモコンを操作すると、明かりが消えて室内は暗くなった。

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