115 / 223
第五章・17
「伊織さま」
待ちかねた駿が、寝室にやって来た。
伊織は手にした雑誌をベッドサイドへ置くと、彼の方へ向き合った。
その途端、軽い眩暈を感じた。
「?」
こめかみに指を当て、改めて駿を見る。
柔らかな光の元の彼は、いつ見ても美しい。
いや、今夜はやけに艶めいて見える。
「待っていたよ。さあ、おいで」
「はい」
二人で、広いベッドの上に横たわった。
「今夜は、ちょっとした趣向がある」
伊織がリモコンを操作すると、明かりが消えて室内は暗くなった。
ともだちにシェアしよう!