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第六章・見えない未来
メリークリスマス!
……なんて、つい昨日言ったような気がするが、本日はもう、元旦だ。
駿は、新年を迎えた。
大晦日は火曜日、元日は水曜日と、今回も『金曜日の少年』の出番はないはずなのだが、伊織はその2日間、忙しい合間を縫って駿と過ごした。
「年末年始は従者も休ませたよ。一年の締めくくりと、新年の始まりは、やはり大切な人と過ごしたいからね」
「ありがとうございます、伊織さま」
大切な人、だなんて。
頬を染めながら、それでも駿は精一杯伊織を気遣った。
「でも、元旦くらいはご家族で過ごさなくってもいいんですか?」
午前の、天宮司家に伝わる儀式を終え、駿と共に午後の神社へ来ている伊織は首を横に振った。
「父は海外だし、母は別荘で女子会だ。私も好きにさせてもらっている」
それより、と伊織は駿に真面目な顔を向けた。
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