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第六章・2
「駿はどうなんだ。父親とは、まだ連絡がとれないのか? 母はどうしている?」
駿もまた、首を横に振った。
「父さんは、もう帰ってこないと思います。母さんは、たぶん男の人と一緒です」
そうか、と伊織は歩みを止めた。
「駿が望むなら、父親の行方を捜索してもいいんだが。母親と男を別れさせることも、可能だ」
いいえ、と駿は慌てた。
「両親には、それぞれの人生があると思うんです。僕も、もう子供じゃないし、大丈夫です」
「駿がそう言うなら、放置しておくよりないが。困ったことがあれば、必ず言うように」
「はい」
伊織さまは、いつでもこんなに僕のことを心配してくれる。
その事実が、無性に嬉しい駿だった。
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