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第六章・4

「伊織さま、何かお願い事をしたんですか?」 「どちらかというと、お礼かな」  駿に出会わせてくれたことへの、感謝。  伊織は、神にそう挨拶していた。 「駿は? 願い事や新年の抱負を?」 「はい」  拝殿を後にしながら、駿は伊織に語った。 「伊織さまと、ずっと一緒にいられますように、って。そして……」 「そして?」  言おうかな、どうしようかな、と迷っている風の駿だったが、やがて伊織を見た。 「生徒会役員選挙で、当選しますように、ってお願いしました」

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