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第六章・5

 生徒会役員!  これには伊織も驚いた。  しかし、今、目の前にいる少年を見て、うなずいた。 (駿はもう、出会った頃のか弱い存在ではないのだな) 「僕は、伊織さまがいなくては、何もできないんです。それは、痛いほど解ってます」  この服も、お賽銭も、楽しい今の時間さえも、伊織抜きでは手に入らないものなのだ。  だけど、と駿は唇を引き締めた。 「僕が幸せになったことで、不幸を被っている友達がクラスに居て。彼みたいな、弱い立場の人のために、何か働きたいんです」

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