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第七章・二人の進路
冬休みも終わり、駿は元の『金曜日の少年』に戻っていた。
「辛いだろうが、我慢してくれ」
「いいえ、伊織さま。僕は大丈夫です」
伊織が駿を、公然と恋人にしないことには理由があった。
親衛隊まで控えている伊織に、ただ一人の恋人などできたらどうなるか。
「その恋人は、嫉妬の炎で焼き尽くされるだろうね」
篠崎の、ありがたい助言だ。
陰に日向に、駿への酷い嫌がらせが行われるだろう。
それを避けるためにも、やはり複数内の一人『金曜日の少年』でいた方が、駿のためなのだ。
駿を守るためだ。
そう思いつつも、恋慕を抑えられない伊織だ。
「篠崎、駿の様子はどうだった?」
「大丈夫。ちゃんと昼食は摂っていたよ」
学食で駿と会うことの多い篠崎に、こんなことまで訊ねていた。
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