148 / 223

第七章・二人の進路

 冬休みも終わり、駿は元の『金曜日の少年』に戻っていた。 「辛いだろうが、我慢してくれ」 「いいえ、伊織さま。僕は大丈夫です」  伊織が駿を、公然と恋人にしないことには理由があった。  親衛隊まで控えている伊織に、ただ一人の恋人などできたらどうなるか。 「その恋人は、嫉妬の炎で焼き尽くされるだろうね」  篠崎の、ありがたい助言だ。  陰に日向に、駿への酷い嫌がらせが行われるだろう。  それを避けるためにも、やはり複数内の一人『金曜日の少年』でいた方が、駿のためなのだ。  駿を守るためだ。  そう思いつつも、恋慕を抑えられない伊織だ。 「篠崎、駿の様子はどうだった?」 「大丈夫。ちゃんと昼食は摂っていたよ」  学食で駿と会うことの多い篠崎に、こんなことまで訊ねていた。

ともだちにシェアしよう!