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第七章・3

「このような失態、初めてだ」 「バカバカしい。僕は用無しだね、帰るよ」  いや待て、と伊織は篠崎の制服の裾を掴んだ。 「これを見てくれ」  まるでトランプのように、テーブルの上に並べられたカード。  裏返していくと、それらにはあらゆる難関大学の名前が記されていた。 「旧帝大に、有名私学。海外まであるのか」  解った、と篠崎はそれらのカードをひとまとめにすると、手の中でシャッフルした。 「好きなカードを一枚引くんだ。そこが、天宮司が進むべき大学だ」 「他人事だと思って、そう単純に事を運ぶな」

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