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第七章・4

 解ってるよ、と篠崎はカードの山をデスクの上に置いた。 「海外には行きたい、だが、御影くんと離れるのは嫌だ」 「……」 「国内の大学でもいい、だが、ここから遠い所は嫌だ」 「……」  御影くんと離れたくないからだろう、と篠崎は笑った。 「図星だ。だが、笑うな!」 「怒った怒った。人間、図星を差された時が、一番腹が立つからな」  しかし、と篠崎は涼しい顔だ。 「答えは、もう出ているじゃないか」  天宮司は、クレバーで効率の良い考えのできる人間だ。 「だったら、一番自分の利になる道を選べばいいだろう。一番自分の求める道を選べばいいだろう。違うか?」 「君にそう言ってもらえると、安心するよ」

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