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第八章・3
「それから、これ。受け取ってくれますか」
「まだあるのか」
それは、初詣に出掛けた神社のお守りだった。
学業成就、と刺繍されている。
「入試、頑張ってください」
「神社の神は頼りにならないが、こちらの方は御利益がありそうだ」
お守りは、二つあった。
もう一つの方は、駿手製のお守りだ。
一生懸命に、金糸銀糸で刺繍がしてある。
掛け紐には、円く磨いた青い石がひとつ通してあった。
石の名前は知らないが、おそらく学力向上のパワーストーンの類だろう。
「中には、何か入っているのか?」
「あの。僕の髪の毛を、一房」
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