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第八章・8
「さあ、皆。教室へ戻ってくれたまえ。素敵なひとときを、ありがとう」
親衛隊は、やはり口々に伊織の名と感謝の言葉を唱えながら、立ち去って行った。
「ふぅ。大丈夫か、駿」
右手をさすり、少し疲れた様子の伊織だ。
「伊織さま……、ありがとうございます」
伊織は、こうすることによって駿を親衛隊の嫉妬の眼から守ってくれたに違いない。
広い背中の後ろ姿は、頼もしかった。
絶対的に守られている、安心感があった。
「君も、教室へ。遅刻扱いになっては大変だ」
「はい」
贈物が詰まった箱は、護衛の人間が次々に車内へ運び込んでいる。
やっぱりすごいな、伊織さまのバレンタインデーは。
ところが、これは序章に過ぎなかった。
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