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第八章・9
昼休み、駿は伊織を訪ねて生徒会室へやって来た。
昼食の世話も、従者の務めだ。
ところが、部屋の中から会話が聞こえる。
伊織と、他に誰かがいるらしかった。
「篠崎先輩かな?」
お邪魔しては悪い、と、そっとドアを開けた駿は、心臓を掴まれたような心地になった。
「好きだよ、佳樹(よしき)」
「伊織さま……」
伊織さまが。
伊織さまが、誰か知らない人とキスを!
「もう、行きたまえ。間もなく金曜日の少年がやってくる」
「はい」
駿は、慌てて身を隠した。
ドアを開けて出てきたのは、校内でも評判の美少年だった。
まだドキドキと弾む胸を押さえていると、伊織の声がした。
「駿、いるのなら入って来たまえ」
のろのろとドアを開け、駿は生徒会室へ入った。
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