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第九章・運命の番

「さあ、私からのバレンタインプレゼントを受け取ってくれ!」  放課後、天宮司邸で駿は伊織に仕立てたばかりのスーツを渡された。 「伊織さま、僕が欲しかったのは……」  事前に伝えた駿の欲しいものは、伊織の写真だった。 「生徒手帳に、挟んでおきたいんです」 「また無欲なことだな、駿は」  こんなやり取りを、一週間ほど前にやったはず。 「だから。今から写真を撮るのだ!」  駿も一緒にね、と言う伊織の言葉に、駿はようやく納得した。 (それで、スーツかぁ)  新しいスーツを身につけ、駿は伊織と共に出入りの写真家の前に立った。  屋敷の一室が、まるでスタジオだ。

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