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第九章・23

 しかし私は、間もなく卒業する。  伊織の心に、初めて不安が訪れた。  卒業後、眼の前から私がいなくなって、駿はどうするだろうか。  チョコの主に言い寄られ、心変わりをするのではないだろうか。 「馬鹿な……」 「え?」  駿は、伊織を見つめた。  さっきから、伊織さま何だか変だ。  考え込んでみたり、突然声を上げてみたり。  そうこうするうちに、時計の針は0時を回っている。 「あ、もうこんな時間」 「何ッ!?」  土曜日です、と駿は寂しげに呟いた。 「僕、もう行かなきゃ」

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