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第九章・25

「君も、もう『金曜日の少年』ではない」 「伊織さま……」 「私の正式な恋人、いや婚約者として、傍にいてくれないか」  伊織さま。  何を言ってるんですか?  自分が今、何を言ってるのか、解ってますか? 「僕が、伊織さまの恋人」 「婚約者だ」  あまりのことに、駿はしばらく放心していた。  頭に届いた言葉が心に伝わるまで、時間がかかった。  そして心に染み入った途端、涙が溢れた。

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