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第十章・2
「御影くんを、頼むよ」
「解っている」
「大事にしないと、僕がさらいに行くからな」
「それは勘弁願いたい」
篠崎と、駿。
この組み合わせも、可能性がなかったわけではないのだ。
あの時、伊織が駿の手紙を受け取りさえしなければ。
『親愛なる篠崎先輩、僕はいつもあなたをお慕いしています。あなたは、僕の光です。一度会って、お話しがしたいと思っています。一度だけで、いいのです。お願いします』
『どうして、私宛じゃないのかな? この手紙は! なぜ君は、私より篠崎を選んだんだ!』
ボタンの掛け違いから起こった、思いがけない恋。
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