206 / 223
第十章・3
「君がもし、駿からの手紙を受け取っていたら、どうするつもりだった?」
「もちろん、一度会ってお喋りしただろうね」
そして、とコーヒーを一口飲んだ。
「僕には恋人がいるので、御影くんとお付き合いはできません、と」
ふふ、と伊織は口元に笑みを浮かべた。
「ようやく私も、その境地にたどり着けた」
「うん」
駿は、伊織と付き合うことで、劇的に成長した。
しかし、それは伊織も同じこと、と篠崎は考えていた。
不遜で、自分勝手だった生徒会長。
今やそのまなざしは、真に大人びたものに変わっている。
篠崎がそう考えた時、伊織が突然頭を抱えた。
ともだちにシェアしよう!