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第十章・4

「ああ! もう一度1年生になって、この学園に入学したい!」 「天宮司!」  全く、大人びたと思えば、すぐにこれだ。 「駿と離れたくないんだ。生徒会副会長・御影さまの親衛隊を結成したい!」 「いいかげん観念して、大学のキャンパスでも歩いて来い」  そうだな、と伊織は頬杖を突いた。 「篠崎の言うことは、いつももっともな事ばかりだ」  思えば、Ωに対して差別の眼を向けなくなったのは、篠崎のおかげである。  Ωでありながら、生徒会書記になった男。  頭脳明晰でありながら、情に厚い性格。  公私ともに、どれだけ彼に救われたことか。 「駿と結ばれたのは、篠崎。君のおかげだ」 「何を言う。青い鳥は、自ら君の元へ飛び込んでいったんだよ」

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