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第十章・6
今まで。
今まで、何だろう。
今まで世話になったな、か?
今までのこと礼を言う、か?
「……こういう時は、何と言うんだろうか」
「答辞で散々言っておきながら、解らないのか?」
ありがとう、と言うんだ。
篠崎は、微笑んだ。
「御影くんにも、ちゃんとそう言うんだぞ」
「解った。ありがとう」
それでいい、と篠崎は見えなくなった。
入れ替わりに、駿が生徒会室に入って来た。
「駿! 来てくれたのか」
「伊織さまは、ここだと聞いて」
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