216 / 223
第十章・13
屋敷に到着し、昼食を済ませた後、伊織はすぐに駿の部屋へやって来た。
「伊織さん」
「駿、シャワーを浴びてきてくれないか?」
「はい……?」
普段なら『シャワーを浴びてきたまえ』と来るはずだが。
(伊織さま、から、伊織さん、になったように、言葉遣いも改められたのかな?)
そんな風に考えながら、部屋に設けられたバスでシャワーを浴びていると、静かにドアが開いた。
「!」
そこには、生まれたばかりの姿の伊織が立っていた。
「駿。君は今、発情期かな? やけに私を誘ってくるね」
「そんな。お薬は、ちゃんと飲んでます!」
「薬も効かないほどの、フェロモンか。今度、医師に告げて、調合を強めてもらわなくてはな」
素裸の伊織は、背後から駿を抱きしめた。
ともだちにシェアしよう!