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第十章・18
「伊織さん、僕がやります! 先に、伊織さんの体を」
「いいんだ。たまには、私が君に尽くしたいんだよ」
交代で、そうして体を清めあった後、ようやくバスルームから出た。
「少々のぼせたな」
「暑いですね……」
アイスティーを淹れます、とかいがいしく動く駿に、伊織は眼を細めた。
キッチンを、すでに自分のものとして使いこなしている駿を、嬉しく思った。
「どうしたんですか?」
「私が、どうかしたか?」
「何だか、ニヤニヤしてます」
それは、と伊織はわざとニヤケ顔を作って見せた。
「バスルームでの君の可愛い姿を、思い返していたんだよ」
「……ッ!」
赤くなって、再びキッチンへ消える駿。
ああ、それでいい。
こうやって触れ合いながら、生涯のパートナーになって行こうじゃないか。
運命の番を、構築していこうじゃないか。
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