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第4話

「まあ、そうだろうね。でも、それ程でも無い……かな?」 「それじゃあ、どっちなんだか分からないよ」  柔和な笑みを浮かべた唯人を軽く小突いて暁が告げると、そのまま肘を彼に掴まれ、至近距離へと引き寄せられる。 「これから、暁の家、行っていい?」  甘さを纏う低めの声に、暁の心臓が高鳴った。 「え? でも……」 「バイト、無いって言ってたよね」 「あ、うん……いいけど」  途端に暁の顔は色づき、歯切れも悪くなってしまうが、彼は全く気にする様子も見せずに耳朶をザラリと舐める。 「ちょっ、止めろよ」 「どうして? 暁だってしてたでしょ?」 「そう……だけど……」  今は昼間で場所も違うし、人目のある場所ではしないで欲しいと口ごもりながらも告げると、頭を軽く撫でてきた唯人が「分かったよ」と答えたあと、「暁はホント、面白いね」と付け足したから、変わっているのは唯人の方だと思ったけれど、暁は黙って頷いた。正直今の暁の心にはそんな余裕は残ってなかった。 (だって、だって俺は……) 「んっ……くぅっ」 「そう、上手だよ」 (手放したく……ない)  ベッドの上で四つん這いになり、尻を彼へ向け腰を浮かせ、肩で身体を支えながら、後ろに回した掌で尻を掴んで左右に割り開く。 「っ……くぅ」 「手伝おうか?」 「い……い、できる…から」  背後からかかる柔らかな声に首をゆるゆると横に振り、暁は下腹に力を込めると、ソレを外へと押し出すために、眉間へと皺を刻んでいきんだ。 「んっ……」 「あ、ちょっと見えてきた。暁のここ、ヒクヒクしてる」 「あっ、やめ……ろ」  もう少しだと思ったところでアナルの縁へと指で触れられ、ようやく顔を覗かせたソレがまた体内へと戻ってしまう。 「やっ……うぅっ」 「あーあ、戻っちゃった」  少しも残念そうじゃない、むしろ嬉しそうなその声音に、暁はシーツを指先で掴み奥歯をグッと噛みしめた。  ***  唯人と初めて接触した夜、暁は繁華街にいた。  もっと詳しく言うのなら、ゲイが相手を捜す為に集まるようような盛り場だ。  その日、勇気を出して初めて足を踏み入れてみたその場所で、最初に声を掛けてきた相手が優しそうに見えたから……言われるがままに付いていこうとした時声をかけられた。 (ただ、安心したかった)  決して軽い気持ちで動いた訳じゃない。 田舎では、自分の性癖が明るみになって嫌がらせを受け続けてきたから、そんな自分を受け入れてくれる場所がある事を確かめたかった。  自分だけが異端な訳じゃないのだと、思わせて欲しかった。

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