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第26話
「中って……これ?」
「ひっ…やっ……ああっ!」
柄を小刻みに揺さぶられれば、ゴリゴリと中を擦る感触に体中へと鳥肌が立つ。
「暁のお尻、美味しそうにヒクついてる。こんなに開いたら、もう閉じないかもしれないね」
「や、やぁっ!」
グチャグチャと中を掻き混ぜながら、恐ろしい言葉を放つ唯人へと……暁はノロノロと顔を向けるが、視界が涙で大きく歪み、ぼんやりとしか見えなかった。
***
(なんて、酷い夢だろう)
『達く時は、ちゃんと言わないとダメだろ』
『やっ、あぁっ』
『ほら』
暁が何回射精しても夢の唯人は許してくれない。
『……く、いくっ、おねが…いくからぁ!』
暁のペニスの根本を掴み、口に出して懇願するまで決して離してくれなかった。
(唯じゃない。夢だ。だって……)
「……っ!」
突然体が痙攣を起こし暁は現実へ引き戻された。
「う、うぅっ……」
ガタガタ震える自分の体を制御する事も出来ないままに、浅く呼吸を繰り返しながら、収まるのをただ待つしか出来ない。
(ここ……俺の……)
身に覚えのあるスプリングと、シーツと枕の感触に……ここが自分の部屋だと分かって安堵に胸を撫で下ろした途端、徐々に体の強ばりが解けて息が楽になってきた。
(やっぱり、夢だ)
凄く鮮明な夢だったけれど、唯人があんな事をする訳がない。上手く頭が回らない中、暁は必死に全てをなかった事にしようと思考を巡らす。
だけど、そんな現実逃避はすぐに、無駄な足掻きと思い知る。
「いっ……うぅっ」
少し気持ちが落ち着いたから、水でも飲もうと体を僅かに起こした刹那、鋭い傷みが下肢を襲い、暁はベッドへと倒れ込んだ。
「痛……い」
少し動いただけだというのに、アナルが焼けつくように痛い。一度痛みを認識すると、今度は手首や体の節々が、思い出したように痛みを覚えた。
「きもち…わるい」
状況を認めたくない気持ちと、突きつけられた現実の狭間で、暁は強い吐き気を覚える。
「夢だ……夢だから……」
とてもじゃないが、今は全てを受け入れるだけの余裕がなかった。だから、胸元をグッと掌で抑え呪文のように繰り返す。
(寝てしまおう。そうすれば、きっと……)
元の自分に戻れる筈だと自分自身に言い聞かせながら、暁は再び眠りの中へと意識を深く落としていった。
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