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第35話

(けど、やっぱり)  嫌われたくないから。  唯人の側にいたいから。  なにも言わずに疑問を全て飲み込もうという考えと、不安を抱く位なら、いっそ聞いてしまった方が良いんじゃないかという考えが……頭の中でせめぎ合い、どうしようもなく混乱した。 (俺は……矛盾してる) 「いいよもう。暁が熱出した原因……俺だし」  そんな暁の心の内などきっと知らない唯人の手が、背中から下へスッと移動して、そのまま暁の臀部へ触れる。 「ゆ……い?」 「ここ、まだ痛い?」 「なっ……止め……」  ジーンズ生地の上からアナルを指で強めに押された暁は、鈍い痛みに顔を歪めるが、弱く制止を求めただけで突き放すことが出来なかった。 「最後の賭け、覚えてるよな。暁はこれからずっと俺に逆らわない」 「……え? あっ!」 「下だけ脱いで。見てあげるから」  体を離した唯人に言われて暁は瞳を大きく見開く。穏やかな声音だけれど、口調がいつもと違っていた。 「唯……怒ってる? 俺、何かした?」 「怒ってなんかないよ。ただ……ちょっとやり方を変えるだけ」 「やり方……って?」 「奴等に会うまでは、ちょっとした遊び感覚だったんだけど……ね。まあ、暁は知らなくていいよ」  顎を取られ、頬にフワリと唯人の柔らかな唇が触れる。 「ほら、早く脱いで」 「……分かった」  離れると同時にそう告げられて、暁は躊躇(ちゅうちょ)するけれど……これまでもそうであったように、好きな相手が望むならばと頷き言葉に従った。  *** 「んっ……くぅっ!」  モーターの振動音が腹の奥から響いてくる。前立腺を掠めるように挿入されたローターは、緩く動いてもどかしい熱を暁の体へと与え続けた。 「まだちょっと腫れてるけど、これくらいなら問題なく楽しめそうだ。暁は、ちょっと痛いくらいが好きだもんな」 「いっ……あぁっ!」  肛門をツッとなぞられてから、尻を掌で軽く打たれ、喘いだ暁の小ぶりなペニスが視界の中でプルリと震える。  そんな僅かな刺激だけで、軽く達した先端からは、ポタポタと白い体液が垂れて自らの腹の上を汚した。 「あーあ。折角縛ってあげたのに、粗相したらダメだろ」 「やっ! うぅっん、そこっ……触……な」  尿道口を拓くように指先で強く刺激され、暁はたまらず腰を引くけれど、刹那ゆっくりと竿へと動いた指に裏筋を緩く擦られ、切ない愉悦に体を震わせ無意識に腰を拙く揺らす。

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