「ん……ふっ」 　怖ず怖ずと舌を差し出すと……今度はその先端へ触れる柔らかな肉の感触に、確かめるよう更に突き出せば、甘く舌先へ歯を立てられ、そこでようやく触れている物が唯人の舌だと確信する。 （まさ……か） 　信じられない出来事に……僅かに思考が戻ってきた。彼と唇を合わせたことは、今までにたった一度しかない。 「んっ……んくぅっ」 　暁は必死に今の状況を理解しようとするけれど、そんな時間は与えて貰えず、すぐに彼の唇によって口内を深く塞がれた。 　それより後の暁の記憶は、頭よりも身体に色濃く刻み込まれる事となる。 　全てを吸い尽くされそうなほどに激しいキスを受け入れながら、酸素を上手く取り込めなくなり、一度は意識を断ったけど……刹那ペニスを襲った激痛に暁はたまらず飛び起きた。 「ひっ！　あぅっ、あついっ……いだい！」 　痛みに悲鳴を上げた暁に、「大丈夫、すぐに悦くなる」と、唯人は告げてくるけれど……過敏になった尿道口が焼け付くようにジンジンと痛んだ。 　何をされたのか知ろうにも、目隠しをされた今の暁には、自分の身体がどうなっているか確かめるだけの手段がない。 「だって暁、チョーカーだと、わざと忘れるだろ？」 「……ゆい、ごめ…ごめ……さい」 　わざとでは無いと言い訳をする思考も残ってなどいない。怒ってないと言ってはいたが、優しい彼がここまでするのは、自分に落ち度があったからだと回らぬ頭で考えていた。 「だから、怒ってないから謝るなって」 　甘く優しい声音の筈なのに、何故か背筋を冷たい物が這い上がる。 「あっ、あ……」 　なにか言葉を返したかったが、もはや喘ぐしか出来なかった。 「暁は、何にも考えないで、俺の言うことを聞いてればいい」 　彼の紡ぎ出す言葉がまるで暗示のように暁を満たす。 　暁が小さく頷き返すと、誉めるように頬を撫でられ、たったそれだけで心の中が幸福感に満たされた。