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第48話
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いつもとは違う空気を感じて、肌がピリピリと粟立った。
決定的な何かがあった訳ではない。
迎え入れてくれた唯人も、いつもと同じように暁へと笑みを向けてくれている。
(でも、なんか……)
「遅くなって、ごめん」
「謝らなくていいよ。俺が来いって言ったんだから」
バイトの上がりが遅かったから、唯人の家に着いた時には零時近くになっていた。だから、まずそれを謝罪してみるけれど、どうやら的は外れたようで、居心地の悪い冷えた空気は残念ながら変わらない。
「お母さん、元気だった?」
ソファーに座る唯人の前へ立つように言われ従うと、手慣れた様子でジーンズのボタンを外しながら尋ねてきた。
「いや、それが……母さんちょっと不幸があって来れなくなって、代わりに叔父が……んっ、ちょっ、待って。唯、そこ、汚いからっ」
「そう? 俺は気にしないけど」
逆らえない雰囲気に飲まれ制止することも出来ない内に、ジーンズと共に下着も下へとずらした唯人が、指を亀頭へ這わせてくる。
「でも……」
夕方睦月を飛行場で見送った後、バイトまでには少し時間があったから、シャワーは浴びて来たのだけれど、それでも多少汗はかいたから、そうは言われても気になった。
「唯は気にしなくても、俺が……気にする」
「ここ、もう痛くない?」
「大丈…夫」
暁の必死の反論は無視され、そこに付けられたプラチナのリングを軽く指で摘まれる。
付けられた当初はトイレに行く都度激しい痛みに襲われたけれど、今はそれほど違和感などを覚える事がなくなっていた。
『このピアスの空け方、プリンスアルバートっていうんだ』
唯人の家を初めて訪れた次の朝、意識を取り戻しはしたたものの、まだ動けずにいる暁のペニスを弄りながら唯人は言った。
朦朧としていた暁だが、彼の言葉に視線をゆっくり自分の下肢の方へと移し、あるはずのない光景を見て、しばらくの間絶句した。
萎えたペニスの先端部分、尿道口からカリ首の下へとリングピアスが貫通していた。
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