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第51話

「暁は、ここに俺のを挿れて欲しくて溜まらないんだろ?」 「くぅっ……ん」  同時に竿を上下に扱かれ、頷きながらも腰が揺れる。最近は、こうして体をいたぶられ、意地悪な質問ばかりをされていた。 「暁のそういう素直なところ、好きだよ」  耳元で低く囁かれれば、『好き』の言葉に体がビクリと反応し、「分かりやすい」と呟く声と同時に体を絨毯の上へ勢いよく押し倒される。 「うぅっ……ゆい、何す……」 「さっきはご褒美あげるって言ったけど、暁、先に達っちゃったから、やっぱり仕置きにする。明日の朝まで達きっぱなしと、一度も達けないの、どっちがいい?」 「あ……」  また答えられない質問をされ、暁は長い睫毛を伏せた。きっとどちらに転んでも、今夜も寝かせて貰えない。 (それは、いいけど)  暁は唯人と過ごせるならば、褒美だろうが仕置きだろうが、その全てを受け入れたいと思えるようになっていた。だが、『唯はこんな自分といて、本当に楽しいのか?』と、不安になる事もしばしばだ。 「答えないなら好きにするけど……いい?」 『従順過ぎてつまらない』  そう、中学時代に言われた事があるのを不意に思い出し、もしかしたら、唯人もそう感じているんじゃないかと不安が頭を過ぎるが、そもそも暁は駆け引きめいた事の出来る性格ではない。  だから正直に、彼の目を見て頷くと、愉しそうに口角を上げる唯人の姿に安堵した。 「暁はホント……可愛い。こんな事までされて、それでも俺が好きなんだから」 「んっ、うぅっ」  ピアスを少し強めに引かれ、痛みに喘いだ暁の唇は、近づいて来た唯人のそれに深く奥まで塞がれた。  夜、明けない夜。  唯人の心に近付きたいのに、その切っ掛けも掴めないまま与えられる愉悦に溺れる。そのままでいいと思う自分も、確かに自分の中にいて、彼を知りたいと願うたび、『欲張るな』と、心の中からしきりに暁へと告げてくる。 (でも、だけど……)  その全てを失う覚悟はまだ暁には持てないが、このままで良いわけが無いという事だけは分かっていた。 【弐 終わり】

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