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第55話

「唯は、何でこんなこと……するんだ?」 「分からない?」 「いっ……ちょっ…待って……ぅっ!」  勇気を出して尋ねてみるが、答えはやはり貰えない。そればかりかピアスを引かれ、そこから生まれた痛みと疼きにペニスがピクリと質量を増した。  そのまま上下に緩く扱かれて下腹部に熱が集まるけれど、射精までには刺激が足りなくて暁は体を震わせる。 「暁、そこに這って」 「え?」 「イきたいだろ?」  当たり前のように命じる彼の微笑みに眩暈を覚えた。この関係に違和感が無いと言えば嘘になるけれど、繰り返されれば従う事に抵抗があまり無くなってしまう。  暁がゆっくりとタイルの上に四つん這いになり背後を見ると、指先にコンドームを被せた唯人が尻を撫でてきた。 「もっと上げな」 「んっ」  羞恥に顔が熱くなる。  唯人の顔を見ていられなくて、暁は顔を前へと向けるが、そこに大きな鏡があったから、斜め下へと視線を逸らした。 「凄い。触っただけで吸いついてくる。暁のココはもう立派な性器だね」 「んっ……くぅ!」  後孔へと滑りを帯びた彼の指先がツンと触れ、そのままズブズブ体内へと肉をかき分けて侵入してくる。 「ほら、ちゃんといやらしい自分の顔……見ろよ」 「あ、やだ……やっ!」  更に背後から顎を掴まれ、鏡を見るように固定されれば、そこにいるのは頬を上気させ、濡れた唇を薄く開いた、誰が見ても発情している醜く歪んだ自分の姿で――。 「嫌じゃないだろ? 暁」 「ひっ……あぅっ!」  前立腺を爪で引っ掻かれ、快感に腰が前後に揺れる。彼の指を食む後孔の肉が、ヒクリヒクリと伸縮するのが自分自身でも良く分かった。 「暁の幼なじみの名前……俺にも教えて」 「ん、くぅっ!」  何故そんな事に興味を持つのか多少の疑問はわいたけれど、それより愉悦を受け止める事に頭の中は一杯で……だから、途切れ途切れに名前を紡ぐと、誉めるように首筋へキスを落とされ体がピクリと震える。

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