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第68話

「ほら、降りて」  停車する前に唯人の手により視界を遮る目隠しを解かれ、前の座席との間に引かれたカーテンを見て安堵した。  なのに――。 「暁、早く」 「んっ……うぅ」  ローターが取り払われたペニスを仕舞う事も許されず、手首を拘束するチョーカーも外しては貰えずにいる。 「うっ……うぅっ!」  停められた車の外に人影が幾つか見えたため、いくら愉悦に翻弄されて判断力が鈍っていても、降りて自身を晒すような真似はどうしても出来なかった。 「暁、平気だよ。彼らは馴れてるから……恥ずかしがらなくていい」  先に降りた唯人が伸ばした腕から必死に体を引くと、愉しそうな笑みを浮かべ、彼が身体を乗り出してくる。 「っ……んぅっ!」 「あんまり手間掛けさせると、他の人に頼むけど、それでいい?」  パニックに陥った暁は、唯人の言葉の意味が分からず、彼に背中を向ける形でシートの隅にへと(うずくま)った。 「アキ、おいで」 「うぅっ! んぅっ……うぐぅっ!」  背後から腰を掴んだ腕に、いとも簡単にシートの上へと仰向けに返された暁は、それでも彼から逃れようと必死に身体をばたつかせる。  いつもなら、彼の言葉を優先しそれに従うけれど、いろんな意味で追い詰められ、正常な思考が出来なくなっていた。 「ぐっ……ん、んぅっ!」  強い力でペニスを握られ、痛みと愉悦が突き抜ける。  射精したような感覚に飲まれ、暁は体を痙攣させるが、生憎(あいにく)ブジーの挿さったそこから白濁を放つ事は出来ず、隙間から透明な先走りがタラタラと垂れて竿を伝った。 「許して欲しいんだろ?」  真上から見下ろす冷たい瞳。口元だけは笑っているけれど、別人のように見えてしまう。 (どう……して?)  次々襲う愉悦の波と彼の与える酷い仕打ちに、暁の混乱は頂点に達し、遂には嗚咽が漏れだした。  すると、体を抑える力が弱まり「しょうがないな」と声がする。 「……俺は、暁には甘いみたいだ」 「うぅっ……ん」  ため息混じりに告げた唯人の表情が僅かに綻む。それから……震える暁の体の上へと布がフワリと掛けられた。

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