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第95話

「謝ることなんて無い。可愛いよ」  頬へとキスを落とした唯人は、萎えたペニスを掌で包み、そこから更に奥でヒクつく彼のアナルへと指を進めた。 「あっ」 「あれから……一人で触ったりしてない?」  答えは既に分かっているが、あえて唯人は言葉にする。どんなに酷な行為を強要しても暁は逆らわない。戸惑うような表情は見せるが、不服そうな顔はしない。  なにせ、性器にピアスを空けられた上、刺青まで入れた相手に、ここまで尽くせる彼だからこそ、勝手なことは出来ない筈だ。 「そんなこと、出来るわけ……ないだろ」 「そうだね。暁は俺が大好きだもんな」  言った途端、照れたように白い肌が上気する。  懸命に強がる姿に唇の端が上がるけど、背中をこちらへ預ける形の暁は変化に気付かない。 「本当だ、まだ固い」 「っい…いたいっ!」 「逃げるな」  人差し指の第一関節までを後孔へ捩じ込むと、腰を引きかけた暁へとあえて冷たい言葉を投げ掛けた。  すると……動きをピタリと止めた彼は、必死と言った様子で体を唯人の膝の上へと戻す。 「んっ……うぅ」 「いい子だ」  囁きかけ、頬を撫でると、縋るようにすり寄ってくる健気な姿が愛おしく、顎を持ち上げこちらを向かせ、その唇へとキスをしたのは衝動的な行動だった。 「んっ……」  触れるだけの柔らかなキスに、戸惑うような吐息が漏れ、切れ長で黒目がちな瞳が何度も瞬きを繰り返す。 「よくできたからご褒美」  告げながら、再度唇を口で塞ぐと、悦びを表すようにその体がピクリと跳ねた。 (ホント、どうかしてる)  最近の自分が以前と違っているのは自覚している。  まず、彼の体調を気に掛けて、軽井沢から戻ってからは、オーラルセックスしかしていなかった。  それに、暁の行動の全てを把握しなければ、気が済まなくなっている。 (けど……)  そんな心境の変化でさえ、決して不愉快な物ではなく、むしろ(たの)しいと感じられた。 「今日は、久しぶりにこっちでの達き方、思いだそうか」 「ふっ……くぅっ!」  一度中から引き抜いた指にローションを纏わせてから、再度アナルへと指で触れ、そのままズプリと侵入させる。

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