97 / 188

第98話

「……っ!」  ベッドへ連れてこられてすぐに、太腿を掴まれ開かれたから、また挿入()れられると思った暁は、息を詰めて唯人を見上げた。 「ここ、こんなに腫らせて……そんなに俺が欲しかった?」 「んっ……触る…な」  裏筋から亀頭までを指でなぞられ悶えた暁は、たまらず体を大きく捩って広いベッドをずり上がる。  根本をしっかり掴んでいても、滑り気のある透明な液は尿道口から次々溢れ、ほんの僅かな刺激があれば容易(ようい)()ぜてしまいそうだった。 「もう我慢しなくていい」 『よく頑張った』と労う声に、心の底から安堵した刹那、コンドームのパッケージを破る姿が視界に入る。 「っ!」 「違うよ、これは……」  (ひる)んでいるのが伝わったのか、『こうするんだ』と笑った唯人に己のペニスへそれを()けられ、刺激に体がピクピク跳ねた。 「くっ……ふぅっ」 「暁、万歳して」  仰向けにベッドの上へと横たわる暁に覆い被さり、真っ直ぐこちらを見下ろしながら、柔和(にゅうわ)な笑みを唯人が浮かべる。 「……うぅ」  彼の命令に応えるために、指を離そうとするけれど……強ばった指を上手く動かせず、暁はゆるゆると頭を振った。 「いいよ、ゆっくりで」  触れるだけの優しいキスが、ふわりと頬へ落ちてくる。  たったそれだけの触れ合いでさえ、愛されているような気がして、涙が出そうに嬉しかった。 「あ……やっ!」  自分自身を落ち着かせようと暁は呼吸を浅くする。すると、そんな意図を知ってか知らずか、体をずらした唯人の舌が胸の尖りをべロリと舐め、そこをチュッと吸い上げながら、舌先で乳頭を突っついた。 「ゆい……やめ…て、あっ……ああ」  弱々しく懇願するが、答えてくれる言葉も無い。  更に臍まで弄ばれ、腹の奥がじわりとした淫靡な熱を持ち始める。 「あっ、あ……ん」  少しの間続いた愛撫に翻弄された暁が喘ぐと、ペニスの根本を掴んだままの指が掌で包まれた。 「やっ、ひっ……ああっ!」  刹那、ぼってりと腫れ敏感になった乳首に痛みが走るけれど、それが快感なのか苦痛なのかさえもう分からない。  怖々(こわごわ)視線を下ろしていくと、洗濯ばさみのような形をしたものが、自分の乳首を挟んでいたから暁は瞳を大きく開いた。

ともだちにシェアしよう!