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第124話

【伍】  ――繰り返される暴力と、断続的な愉悦の波に、翻弄され続けることしか最後には出来なくなった。 『やっ……いっ、いたいっ、あ゛うぅっ!』 『嫌? こんなに勃てといて、どの口が言ってんだよ』  蔑むようにこちらを見下ろす美貌の男はパドルを振り上げ、叩かれても尚、勃起している暁のペニスを打ち据える。 『ひっ、やぁっ!』  仰向けに四肢をベッドの上へと拘束され、逃げようのない暁は悶えるが、彼は巧みな緩急をつけて暁の身体を弄んだ。  (せん)だって……樹の手により後孔内へ注がれた液は、合法ではない催淫剤だが、それは暁には分からない。  ただ、たちまちの内に反り勃ったペニスは、あと僅かな刺激があれば、今にも弾けそうだった。 『アキ、“僕は叩かれても感じる変態です”って言えよ』  パドルで顎を上向きにされ、絶対的な支配下に置かれた暁は素直に口を開く。 『俺は』と一言発しただけで、(たしな)めるようにペニスを打たれ、『暁、俺じゃない。僕だ』と言われて喘ぐように唇を開いた。 『……僕は、叩かれて…感じ……へんたいです』 『ホント、アキは変態だ。こんなものまで付けて、虐められるのが好きなんだよな』 『やっ……あっ……やめてくださ…いだっ、いたい!』  亀頭部分のピアスを引かれ、たまらず暁が懇願すると、今度は脇をパドルで打たれて、『好きだよな?』と、再度問われる。 『……すき、すきっ』 『やっぱり好きなんだ。なら、もっと沢山叩いてやるよ』 『ひっ…やめ……あ゛ぅっ!』  強要して言わせた癖に、男は尊大に言い放ち、内腿、腹、胸を中心に容赦なく打ち据えてきた。 『ふっ……う゛ぅっん』  時折手を止め打った部分を優しい手つきで撫でてくるから、気持ちが悦いのか痛いのか……徐々に分からなくなってくる。 『そろそろ、こっちの準備も始めないとな』  ペニスの先へと触れたパドルが、そのまま裏筋を降りていき、陰嚢を超え、奥の窄まりへと触れた時、暁の心を大きく裏切り、期待するように体が跳ね、その様子を見下ろしながら、馬鹿にしたように男は笑った。 『あとで洗って使ってやるから、今はこれで我慢しとけ』  宛がわれた無機質なそれに、息を飲んでいる暇も無く、エネマグラが挿入されて、暁は大きく胸を反らせる。

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