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第128話

 それが終わると、痛みに耐える暁の下腹を撫でさすり、優しいキスを繰り返しながら、 『頑張れ』 などと甘い声音で何度も囁きかけてきた。 『いたい……いたい……たす…けて』  涙を流し、譫言(うわごと)のように暁が彼へと訴えかければ、 『もう少し我慢出来るよな?』 と、宥めるように告げながら、指で目尻の涙を拭う。  もう、なにがなんだか分からなかった。  最初の10分を耐えたあと……解放された後孔から、濁った液体を吹き出しながら、絶頂にも似た強い快感に(もだ)えた事は覚えている。 (夢だ。あれは、全部、夢……)  それから先の暁の記憶は、曖昧なものになってしまうが、彼等の(うつ)した映像には……注入と、排出を、幾度となく強要され、狂ったような時間の中で、支配者である男に媚び、まるで男の奴隷のように、言われるがまま振る舞う姿が克明に残された。  体をくまなく洗浄され、ベッドへ連れ戻された時には、既に射精する事だけしか考えられなくなっていた。 『も……いきたい、いかせ……くださ……』 『なら、やることは分かってるよな』  縋るように哀願すると、暁の顎を掴んだ男がズボンの上から股間の辺りを指し示し、 『出来るだろ?』 と、キスをしながら告げてくる。 『……でき……ます』  理性の箍が外れた暁は、背後で腕を拘束された不自由な格好のまま、男の声の命じる通り、歯を使ってファスナーを下ろし、少し兆しを示しはじめた彼のペニスを口で取り出すと、それを無心に舐めしゃぶった。 『アキ、お前、このまま俺のになれよ』  いよいよ挿入の段階になって、そう囁かれた気がするが……自分がどう答えたのかは、まるで記憶に残っていない。  ただ、満たされていく肉欲とは反比例するように……心はどんどん空虚になり、抱かれている間中、涙が溢れて止まらなかった。 『アッ……うぅっ……イジ、エイジッ』  セックスが始まってから、呼ぶ事を強要された男の名。  甘えたような、媚びるような、自分の声が脳裏へ響き、深く沈んでいた暁の意識は、徐々に現実へと引き戻される。

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