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第155話

「俺……あの人の…代わり…って、分かって……けど、も……つらい」  両手で顔を覆い隠し、か細い声で切れ切れに喘ぐと、「続けろ」と耳の近くで囁く唯人の声が聞こえた。 「ゆいは、いつも優しくて、おれなんか、相手に……してくれて、だから……代わりでも、いいって、そばに、いれたらって……思ってた。でも、おれ……あの人に、嫉妬して……卑しく…て……」  嗚咽混じりに吐き出す言葉に、まとまりなんてまるで無いけれど、それでも唯人は時折小さく「うん」と相槌を返してくれる。 「ゆいに、いらないって……言われるまで、そばにいたいって……思って……けど、もう、つらくて、逃げたくて……」 「それは、セックスしなかったから?」 「ふ……うぅっ」  直截な彼の問いかけに、暁がコクリと頷き返せば、後孔を埋める唯人のペニスはその質量を明らかに増した。 「ホント……暁は、俺の事が好きだよな」  喉仏を指の腹てなぞられ、くすぐったさに震えながらも、暁は必死に酸素を取り込み、次の言葉を紡ぎ出す。 「……好き、好き。会った時から……ずっと、俺は……あっ、ああっ!」  言葉の途中で突然アナルの深い場所までを一突きにされ、衝撃に……萎えかけていた暁のペニスの先、尿道口から透明な液がチョロチョロと流れ出た。  内腿を伝いシーツを濡らす生温かな感触に、顔を覆う掌を外し下半身を見ようとするが、開いた視界に彼の端正な顔が映り込んだから、動きを止め……(しば)しの間、魅入られたように見つめてしまう。 「やっ……あぅっ」 「我慢してた?」  慌てて股間を隠そうとするが、暁が腕を動かす前に、両手首を掴み取られてシーツ上へと縫いつけられた。 「……ごめ……ゆい、ごめ……」 「いいよ。可愛いから」  啄むようなバードキスを顔中へと落としながら、そんな言葉をサラリと言うから、頬へと熱が集まってしまう。 「かわいく…なんか……ッ…アゥッ!」  反論しようと口を開くが、声は途中で喘ぎに変わった。ゆっくりとしたストロークで、彼が律動を始めたからだ。 「馬鹿だな、暁は。普通、ここまでされて、優しいなんて思わない」  呆れたように呟いた彼が、胸の尖りへと唇で触れ、そこをチュッと吸い上げながら、抜き差しを徐々に速めていく。

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